「私が戦った暗黒・新日本プロレス」……“元・社長”草間政一インタビュー

再び黄金期を迎えようとしているテン年代の新日本プロレスだが、10年前は“瀕死のプロレス団体”として「明るい未来が見えません!」(鈴木健想調)というズンドコ状態であった。そんな暗黒・新日本プロレス時代に社長として改革を推進しようとしたのが、今回登場する経営コンサルタントの草間政一氏である。外部からの招聘、新日本にとっては初の非レスラーの社長就任ということで話題を呼んだ草間氏。当時はその政策や言動が選手、マスコミから批判されていたが……暗黒・新日本のズンドコエピソードが次から次に飛び出すインタビュー! 嗚呼、ユークスやブシロードがいて本当に良かった……。
 

 

――暗黒時代の新日本プロレスを改革しようとした元・社長の草間さんですが、当時は選手やマスコミ、そしてファンからも新日本に混乱をもたらす“悪の元凶”としてバッシングされましたよね。

草間 一部の悪いことをしていた社員及び一部のマスコミからは、そういう扱いをされていましたね。しばらくしてユークスが新日本の親会社になったらさ、俺がやろうとしてたことをそのまま実行してるわけじゃない。「俺がやろうとしたことと同じじゃないか」「いまとなってみたらそうです」って、ある役員からは言われたね。それは、自著「知りすぎた、私」を読み返していただけければわかります。選手の年俸を抑えたこと、棚橋弘至や中邑真輔を売りだそうとしたこと、ダメな社員を排除したこともそうだけどさ。

――草間さんは新日本プロレスを企業として再生しようとしたわけですよね。

草間 いま人気があるもんね、新日本って。『闘魂ショップ』をやってる力道山夫人の田中敬子さんとよくしゃべるんだけど、1枚4000円くらいのTシャツがいまは売れ残らないんだって。あと面白いのは、『闘魂ショップ』には外国人のお客が多くて、香港、韓国、台湾、中国からやってくるんだというんだよ。いまの新日本は女の子のファンも増えてるという話だけど、じつは外国人のファンも多くなってるらしいんだよね。

――国内外でも人気が上がってるんですね。もともと草間さんは経営コンサルティングとして、猪木さんが猪木事務所や新日本に送りこんだわけですよね?

草間 そうだよ。猪木さんも猪木事務所や新日本の内部がメチャクチャだってことは知ってたんだよ。悪い連中がさ、お金をごまかしていたってことは。

――最初に財務調査されたのは猪木事務所なんですよね。

草間 当時、猪木さんのパチンコ台がヒットしてたでしょ。そのお金が消えてるのよ。

――当時のパチンコ業界の中でも大ヒット機種でしたから、莫大なお金ですよね。

草間 そりゃあ莫大ですよ。何億円の世界ですよ。それなのになぜお金が消えてるかといえば、猪木事務所のスタッフが陰でいろいろとやってたんだよね。それでいろいろと調べたら契約金とかの数字がおかしいんだよ。事務所に入るべきお金がちゃんと入ってない。そのことを猪木さんに報告したら、猪木事務所の連中が俺を排除しようとしたんだよね。

――草間さんの報告を受けた猪木さんは、事務所のスタッフを追放しようとはしなかったんですか?

草間 あのね、猪木さんが面白いことを言ってたんだよ。「草間さん、俺が人生で一番嫌なことは週刊誌にいろいろと書かれて1カ月間、家から一歩も出られなかったことだよ」って。猪木事務所の奴はそういうネタを持ってると言うわけよ。

――追放したら何かスキャンダルを暴露されるんじゃないかと?

草間 こないだ力道山時代のプロレス関係者と話をしたんだけど、力道山のガウンを盗んでどこかに売っちゃう奴がレスラーや関係者にいたんだって。それと同じようなことが猪木事務所でも起きていた。猪木さんのガウンやベルト、トロフィーは事務所に飾ってあったんだけど、いつのまにかなくなってるんだよね。

――ファッ!? 

草間 「猪木さん、どこにあるんですか?」「いや、◯◯が管理してるんだよ」だって。で、◯◯に聞いたらトボケるんだよね。噂によると、どこかに売り払ったそのお金は、女にやらせてるバーだかクラブに流してたみたいなんだけど。

――言葉もないですね(笑)。

草間 酷いよ(笑)。猪木事務所の連中は「金がない」というわりには高級車をしょっちゅう買い換えてるわけよ。それで猪木さんも「おかしい」と気付いて俺が調べることになったんだよね。

――当時はビッグイベント華やかりし頃でしたし、猪木事務所は選手マネジメントでも儲かってましたよね。

草間 あの頃、ブラジルから来てた選手いたでしょ? なんだっけ?

――リョートですね。猪木事務所を離れたあとにUFCと契約してチャンピオンになった。

草間 そうそう。リョートってどこに住んでいたと思う。汚い小さいアパートの部屋に3人で住んでいたんだよ。それでファイトマネーもろくにもらわず試合に出ていたんだよ。

――そんな環境でBJペンやリッチ・フランクリンをぶっ飛ばしてたんですか!

草間 リョートの親父は日本人で、啓介さん(アントニオ猪木の弟)と仲がいいでしょ。「なんでそんな場所に住まわせるんだ」って抗議の連絡があったんだよ。いろんな大会で活躍してるのにさ。

――しかも食費だトレーニング費だとかをファイトマネーから天引きしていたんですよね。不当に搾取されるフィリピンバーの女の子みたいな扱いで。

草間 猪木事務所が儲かってないわけないんだよ。K−1やPRIDEに選手を出したら、けっこうなお金が入るわけだから。事務所を通してやってるから選手本人は正確な金額は知る由もないんだけどね。大晦日の件も裁判になったときがあったでしょ。

――03年の『猪木祭り』のファイトマネー未払いですね。

草間 あれだって億近い金額を猪木事務所はもらってないはずなんだよ。猪木事務所の連中はあのときの主催者と仲がいいはずなのに取り立てる気配もなかったようだからね。おかしいでしょ。

――そんなわけだから猪木さんのところにお金は入ってなかったんですか?

草間 払ってはいたんだよ。猪木さんにはニューヨークに奥さんがいるでしょ。

――離婚しちゃいましたけど。

草間 あ、それは知らなかった。奥さんも思ったよりお金が入ってないことを怪しんでいたんだけど、それはさ、奥さんのところに行くまでに猪木さんが発明に使っちゃうんだよ。

――猪木さんも猪木さんですよ!(笑)。その発明とは永久電機のことですよね(http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar511058?access_from=ichiba

草間 猪木さん、資金繰りに困ってたよ。その発明会社に払うお金が月600万かかるわけ。

――つ、つ、つ、月600万!? 

草間 それくらいかかる。浜松町の近くに事務所があって、そこに俺の机もあったんだよ。

――研究所自体は筑波にあったんですよね。開発者は元・日立製作所の人間で。

草間 俺は研究所には行ったことがないけどね。社員みたいなのが何人かいて、経費だけで月に600万はかかるんだよね。最初の頃は地方のパチンコ屋だなんだから猪木さんがお金を借りてくるわけ。3000万借りれば何カ月は持つでしょ。でも、貸すほうも保証がないと貸せない。それで新日本の保証を入れていたわけよ。

――新日本の保証で永久電機の借金ですか……ああ、新日本がユークスやブシロード体制に変わって本当によかったなあ(笑)。

草間 新日本だから貸してくれたよね。でも、猪木さんは借りたら返すという感覚がない人だからさ。

――ハハハハハハハハハ!

草間 お金がさ、自分の手元に入るわけじゃないでしょ。右から左に動くわけだから借りた感覚は生まれないですよ。あのときは途中で訴えられて裁判にもなったんだよ。要するに猪木さんだから貸したんだ、と。猪木さんはその発明会社の役員から降りちゃったの。そうしたら金を貸した人が訴えたんだよね。

――しかし、猪木さんは永久電機の完成を本気で信じていたんですかね?

草間 猪木さんは信じていたみたいだよ。「完成すればね、ブラジルに電気がどうのこうの……」と言ってたんだけど。

――猪木さんがインフラ整備にうるさいのは、ブラジル移民時代の過酷な生活が原点にあるからですね。

草間 でもまあ、できるわけがないじゃない、そんなの。

――ちょっと科学の勉強をすればわかることなんですけど……。ズバリ、猪木さんは詐欺に騙されていたんですか?

草間 詐欺とも言えないんだけど……まあ外から見ると詐欺なのかもしれない(笑)。

――それを世間一般では詐欺っていうんですけどねぇ。

草間 俺が新日本の社長になったときも「金がどうにかならないか」と言われたんだよ。嫌な顔をするもんだから、直接オレに言わないで、猪木さんの親しい人を通じて言ってくるわけ。「猪木がそう言ってるから貸してやれよ」って。でも、あの頃の新日本は裕福じゃないじゃない。俺が社長になったことでようやく銀行が信用してくれて、貸し出しもしてくれるようになったのに。猪木さんの発明に数千万単位で持っていかれるのは厳しいよねぇ。それに、社長とはいえ会社の金を役員会の承認もなしに貸し出しすることはできませんから。

――ドブにお金を捨てるのと変わりないですからね(笑)。亡くなった実兄の快守氏も猪木さんと同じく山師タイプでしたよね。

草間 ああ、お兄さんは週刊誌でもいろいろとスキャダルを書かれてたでしょ。1回会ったことがあったなあ。「ホテルみたいな霊園を作る」という計画を猪木さんに持ちかけたんだけど。

――快守さんは、熱海に江戸城とその城下町を再現させるという壮大な計画も猪木さんに持ちかけてましたね(笑)。

草間 猪木さんから「これはいくらなんでもありえない。草間さん、なんとかやめるように説得してくれないか」と頼まれてさ。

――あの猪木さんもドン引きするレベル!(笑)。

草間 でも、あの兄弟は似ているんだよ。猪木さんってさ、普通の感覚じゃないからね。海外に行けばもっとわかる。どこへ行っても特別待遇だから、やっぱり変わった考えになるんだよ。イタリアに行ったときなんてパトカー先導で空港から連れて行かれちゃうしさ。あと飛行機に乗ろうとしたらパスポートがないわけ。それなのにあの人は「俺はアントニオ猪木だ!」と言い張って飛行機に乗ろうとするんだよ(笑)。

――ハハハハハハ! 顔を見れば誰だって猪木さんだってことはわかりますけど。

草間 さすがに乗れなかったんだけど、パスポートを持ってくるまでのあいだ飛行機が待っていてくれたんだからね。ありえないでしょ。

――国賓待遇なわけですね。

草間 国賓待遇。モハメド・アリとやってるから名前が通ってるわけでしょ。

――話を戻すと、草間さんは猪木事務所の不正を猪木さんに伝えたわけですよね。いくらスキャンダル嫌いの猪木さんとはいえ、スタッフを切らざるをえなかったと思うんですけど。

草間 猪木事務所の株主総会の前日には「アイツらを切る!」と猪木さんは言ってるんだよ。でも、いざ当日になると「……うんうん」と話を聞いて頷いてるだけ。あとで「猪木さん、昨日までの話と違うじゃないですか」って聞くと「アイツら泣きついてきたんだよ。泣きつかれると弱いんだよな……」って。

――優しい人ですよね。いつの時代もその優しさにつけこむ“猪木の威を借りる狐”が絶えないだけで。

草間 優しいんです。だからダマされるんです。昔、豊登っていたでしょ。

――日本プロレス2代目社長ですね。

草間 あの人の借金の面倒を見たのは猪木さんだけだよ。豊登なんてさ、力道山の葬儀のときに姿がなかったんだって。どこに行ったかと思えば、博打をやりにいってたんだって。

――ギャンブル狂で言えば、猪木さんが安田(忠夫)さんの面倒も見てましたね

草間 安田もいろいろと大変だったんだよ。契約更改のときに机をバンバン叩いて怒鳴るのは安田だけなんだよ。アイツはね、急に怒り出すんだよ。一生懸命説得して「ギャンブルをやめろ!」と話をしたんだけど。アイツの引退興行のときもちょっと関わったことがあったよ。

――引退興行のあとにブラジルに相撲を教えにいくという話ですね。

草間 あのとき「俺の引退興行なのに金が入ってこないのはおかしい!」と言い出したんだよ。でも、安田は引退興行をやろうとしてる人たちから、お金をもらって生活してたんだよ。お世話になってることを忘れてやがんの。

――まあ、安田さんはその瞬間だけで生きてますから(笑)。

草間 結局、マネジメントしてるところと揉めちゃって、それでブラジルの話もダメになっちゃって。その人間はケンドー・カシンの知り合いなんだけどね。

――安田さんはカシンの紹介で農場で働いてましたね。

草間 豚の農場で働いていたんだけど、車で街に降りていってパチンコやってたいうんだから(笑)。

――猪木さんはそういう“ダメ人間”の面倒を見てたんですね。

草間 猪木さんはそういう人なんだよ。以前、猪木さんの常宿は最初オークラだったたけど、途中から変わったときがあって。それは△△△△△△に追いかけられていたからだし。

――ああ、その件はけっこう大騒ぎになってたんですよね!

 

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